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暫く前までは近隣各国と比べて労働力も安く手先も器用と言われていたベトナムの労働市場であったが、毎年の最低賃金の引き上げ、度重なるストにより、その状況も急速に変化しつつある。

政府や国営企業の最低給与基準を決める基準最低賃金は、今年の5月に105万ドン/月(=約4050円)に上がったばかりだが、既に来年に向けて再度引き上げの議論がなされている。

現在の議論では、130万ドン/月(約5020円)への引き上げが検討されている様だが、これは実に24%の急激な引き上げである。インフレが一桁台に収まっており、不動産バブルもはじけ、ベトナムの経済もスローダウンしつつある今、この急速な引き上げを持ち出す意図は何なのか。

先に基準最低賃金は政府や国営企業に適用されると書いたが、実はこの基準最低賃金は社会保険料支払いの課金上限所得を決める際の基準ともなっているので、民間企業にも大きな影響が出るのだ。

最低賃金が上がることは労働者にとって短期的には利益があるかも知れないが、こうした急激な最低賃金の引き上げが続けば、ベトナムの労働市場はその魅力を失い、工場や企業が他国へ流れる大きな要因となる可能性を秘めている。この引き上げのタイミングや引き上げ率を見ると、どうもこの辺市場全体を見越した計算が出来ていない感がある。

一方、政府内からも今回の引き上げ案につき延期の要請があった。要はそんなに上げられてもカネが無い、という単純な理由である。

▼最低賃金の引き上げ延期、政府が国会に承認求める

これに付随して、民間企業に適用される最低賃金についても同様の引き上げが来年から予定(検討)されており、安いから手先が器用だからなどと工場などを設立した企業は、毎年の様に鬼の様に上げられる賃金に悲鳴を上げているに違いない。

ベトナムでは借家をしてレストラン等を開いたが、借主が儲かっているのを見て、家賃をいきなり2倍、3倍にしてきた(そして払えずビジネスを潰される、退去を余儀なくされる)というえげつない話を良く耳にするが、最近の賃金の上がり方を見ていると、国全体の労働市場もそれに近い状態と言えないこともないかも知れない。

恐るべし、ベトナム。
最近のベトナム経済はどうも危ない香りがしてならない。前からベトナム経済の実態は非常に危ういものではないかと書いてきたが、いよいよそうした懸念が表面化してきた様な感もある。

ベトナムの金融機関が危ないのではないかという話は「知られざるベトナム銀行の危ない話」で紹介したが、最近はこんな記事も。

●「銀行の報告信じられぬ」不良債権問題で国家銀総裁

この国の経済の迷走が始まるのか。。。
▼外国人観光客「お金はあるけど…、買いたい土産品がない」

全くその通り。

それもこれも、ベトナム社会全体に創造力がないということと、買い手の立場に立てないということ、基本的なマーケティング概念の欠落などなど、根本的な問題は山積みだ。

タイの物まねをしてVAT還付を始めたはいいけど、お店がVAT領収書を出し渋ったり、案内がベトナム語だけだったり、広報も不十分で使い難いことこの上なく、結局最初の1ヶ月か何かは60人位しか利用しなかったとか。皆休みを楽しみに来てるのに、ベトナムの煩雑な手続きなんてしたくないのは当たり前だ。そういう発想がないのがこの国の最大の弱みである。

ベトナムに単純作業の工場ばかりが増えてしまう理由も、そういう所にあるのかも知れない(単純な機械作業は器用で早い)。一生下請け工場の国にならないことを祈るばかりだ。
ベトナム経済は好調だよね~、投資しようかな~、と日本の証券会社の宣伝を横目に相談してくる方も多いが、私はいつもそうした人々に再考を促している。どうも内部から見るベトナム経済と、外で「好調」と騒がれているベトナム経済のイメージに大きな差がある様な気がしてならないのだ。

確かにベトナム経済は成長している(いた、と言うべきか)。それはマイナス成長の日本とは比べ物にならない位で、近年のベトナムの巷の雰囲気は戦後復興期~バブル期の日本の雰囲気によく似ているという人も居る。それをベトナム国外では「好調!」と一言で宣伝する訳だが、その成長のごちゃごちゃにサボタージュされて有耶無耶にされている数々の危ない現実があるのもまた事実だ。

ということで今日は経済の中核を担う「ベトナムの銀行」について話してみよう。

銀行について話してみたいと言っても、ここはベトナム。バークレイズもびっくりな虚偽報告や粉飾なんかは朝飯前だから、公式に発表された統計がそもそもどこまで信用できるのかという根本的な問題がある。とにかくベトナムの基本は「信用せず」「何事も疑え」だから、信用機関すら信用できない。

ベトナムは近年高く安定しないインフレ率に悩まされてきた。2008年にインフレが23%超を記録したのに続き、2011年にも18%超だった。こうした時期に、銀行は我先にと高い預金金利を発表し、市場から金を掻き集め、更に高い利率で貸しまくってきた。本当にこんな利率で貸しまくって大丈夫なのかと、日本のバブル期を彷彿とさせる状況に不安になったものだが、やっぱり大丈夫じゃなかった様だ。

こうした懸念は実はかなり前からあった訳で、2010年にはこんな記事も出ている。

● ベトナム銀行 クレジットランク(信用格付け)下落(2010年)

これはFitchによる評価だが、「貸出資金が急増した一方で、貸付の品質が低い」と、正に言った通りの結果というか、誰でも分かりそうなことを再度指摘された訳だ。D/Eランクというのは、「Dランク:社内外の原因により多くの弱点を抱えた銀行」以下の「厳重な問題がある銀行」に近い銀行という評価だから、怖いなんてモンじゃない。

ちなみに上の記事にに挙げられているVietcombankとACBというのは、決して弱小銀行ではなく、Vietcombankは国営の超大手商業銀行でACBも町中に見かける民間の超大手銀行であり、ベトナムの優良銀行(!)などの賞も取っている2行である。まあ相対評価だから仕方ないとしても、じゃあ他の銀行の状況はどれだけ悪いんだって話である。

ちなみに私のメインバンクもVietcombankである。

そして2011年。不動産バブルがはじけ始め、不動産の値段が下がり始めているという話は大分前から騒がれていた話だが、こんな記事も。

● 不動産がらみの不良資産の処理に追われるベトナムの銀行(2011年)

ベトナムに住んでいると、最近土地が売れないとか、下がって損をしたとか、こういう不動産の価格下落の話は良く耳にする話題で、実感とも一致するが、国外では意外と知られていない情報だ。ちょっと前までは不動産でぼろ儲けした話しか聞かなかったのに、余りにも急な変化だ。

更には、ベトナム銀行業界の不良債権率は、2011年末までにGDP比5%行っているかも知れないなんて政府から公式発表されていたらしいが、外資筋や銀行アナリストはその2~3倍(10-15%)あるんじゃないかと予想していた(という記事↓)。

● 不良債権の増加がベトナム銀行業を苦しめる(2011年)

そして、そんなことが証明されるのに時間はかからず、2012年6月にはベトナム国家銀行総裁が早々とそれを認めた(↓)。

● ベトナム銀行の不良債権 急増の実態(2012年)

要は、良く調べてみたら、2011年末に不良債権が総額約256兆ドン(123億ドル)でGDP比 10%もありました、って話だ。

これは、

・国内銀行全体の株主資本の80%
・銀行分野の不良社債は全体の利益総額の6倍
・上位銀行14社の総資産

に相当、ということで、いきなり発表するにはあまりにもびっくりな数字だ。

では、いったいどの銀行が??俺の銀行は大丈夫か??と、国の経済を差し置き自分の預金までもが心配になってくる状況であるが、今年7月にはこんな情報も出てきている。

● ベトナムの銀行不良債権、大手14行が全体の62%占める(2012年)

大手14行が全体の62%を占めているだけではなく、国営商業銀行が全体の50.5%と半分強を占めているという記事だ。

ここで言う(旧)国営商業銀行というのは、元々国家銀行の一部であったがその後ドイモイの一環で独立した銀行で、

・ベトナム貿易銀行(Vietcombank)
・ベトナム農業農村開発銀行(Agribank)
・ベトナム投資開発銀行(BIDV)
・工商銀行(VietinBank、旧Incombank)

の4つのことを一般には指す(実はもう一つあるが)。

えー!我が家のメインバンクのVietcombankも入ってるやないか!!と一瞬思ってしまうが、実はこの4行で2011年末の貸出残高の50%弱を占めている訳で、不良債権の5割がこの4行に集中しているとしても、比率的にはこの4行が突出して不良債権を抱えている訳ではなさそうだ(と自分に言い聞かせる)。

まあ、2011年のインフレ抑制の為の金融引き締めの影響で、景気に急ブレーキがかかって、倒産した企業が急増したことも事実で、2011年の不良債権増加はある意味「想定の範囲内」である部分もある。政府の銀行支援策等も影響して、必ずしもベトナム銀行の評価が下がり続けている訳でもなさそうだ。

● S&P、BIDVとベトインバンクの信用格付見通しを「安定」に引き上げ(2012年)

インフレ率も下がった今、景気低迷の対策にと、政府は徐々に金融緩和を進めているが、今度は銀行の融資残高が思う様には増加していない様だ。

こんだけ焦げ付きが発生すると、銀行だって馬鹿じゃないから少しは保守的になるだろう。一方で、銀行の貸し渋りが今後も長引くと、企業の倒産が続き、マクロ経済安定を狙った金融引き締めの影響が長引いて、ベトナム経済を一層冷やすことになるかも知れない。

ちなみに、ベトナムの2012年第1四半期経済成長率は年率+4.0%だった。

ベトナム経済は今が潮目かも知れない。
本日のニュースを一つ。

●アグリバンク前で数百人が座り込み、銀行保証の履行を要求

アグリバンクと言えばベトナムでは最大手の部類。それでもこんなもんです。ベトナムの銀行もそろそろ危ないかも知れません。

抗議の座り込みということですが、ちなみに写真をよく見るとハイネケンの箱らしきものが2つ。まさかビールは入ってないでしょうねぇ。。。
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